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鎌倉で博物館など。

博物館 日常

友人に誘われて、鎌倉へ行きました。ちょうど、「鎌倉の世界遺産登録をめざす3館連携特別展」として神奈川県立歴史博物館の「再発見!鎌倉の中世」展(10/6~12/2)、および鎌倉国宝館の「古都鎌倉と武家文化」展(10/20~12/2)が開催中。観光もですが(観光というよりも)、金沢文庫と国宝館が目当てです。友人の学生時代の専門は仏画で、解説してもらったり感想を言ったり、ひそひそ喋り続け見続けた2日でした。以下、感想。

神奈川県立金沢文庫

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「武家の古都・鎌倉」世界遺産登録推進 特別展「鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―」を見にゆきました。
館内の照明はかなりおさえてあります。二階への順路よりも奥に常設展のような、模造の像や仏画がありました。たまにケースの上に照明が反射して見にくい館があるけれど、それは感じなかったように思います。
フロアレクチャーがありました。50~60代の男性が話者。ボランティアの名札をしてらっしゃいました。30~40分ほどで、開始当初は10名くらいだったのが、終わるときには20名ほどのちょっとした団体に。来館者もそうだけれど、地域の高齢の方や、ハイキングの途中で立ち寄ったふうな方が主な聴衆です。つかず離れず聴いていました。へー! と思ったのはiPadを使用していたところ。類似の作品を見せてくれたり、細部を拡大して見せてくれたりしました。展示解説はひとりひとりが作品に寄って見ることができるわけではない作品はもちろんのこと。ありがたいし、おもしろく見ました。ここのキャプションは解題なのですが「ここまで調査してある(あるいは定説がある)けれどその先は不明」な様子が透けて見えて、正直だというかお人柄や館の雰囲気が見えるような気がしました。ほんわか。
友人と盛り上がったこと。「称名寺絵図」が金堂を中心に紙の四隅からせーので描いたみたいに横倒しや上下逆さまに伽藍があるのが不思議で。後で境内を歩きながら「きっとここで横に立っとるよ、あ、そろそろ逆立ち!」とひとしきりネタにして遊びました。有隣堂さんという書店さんのサイトに画像を見つけました。こんな。他に、訓点資料にときめいたり、友人の解説のもと螺髪が変っている、如来なのに白毫がない、だとか教えて貰いながらきゃっきゃと見て回りました。

金沢文庫 図書閲覧室

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博物館に併設。専門図書館と考えてよいようで「中世における歴史文化について調査および学習する場所」と壁にかけてありました。2階の展示室からロビーに帰らずにまっすぐ進むと図書室です。
4人がけの机が2つ(3つだったかも)で、カウンターに女性の職員さんがおひとりいらっしゃいました。3名くらいの高齢の男女が黙々と資料を利用なさっていました。他にはウォークインユーザーさんがふらりと2組ほど、そして私たち。
書棚は壁の三方にぐるり、それと確か4つで、「うわ狭い」が第一印象。蔵書の方針がはっきりしていて、中世歴史、仏教、文化財、レファレンスブックと叢書が多いのが目立ちます。友人曰く、図録も結構揃っているとのこと。NDC5・6はほんの少ししかなかったはず。基礎的というか、ちょっとした調べ物はここで事足りるのでは、と思います。
個人的には勉誠社文庫(影印と翻字・解説の)が揃っているところににやにやしていました。

鎌倉国宝館

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鶴岡八幡宮の境内にあり、本館は国の登録有形文化財とのこと[*1]。
特別展「古都鎌倉と武家文化」を見てまいりました。
お堂なので天井が高く、広い空間でした。冬は寒そう。そこに仏像がずらり。ケースなどには入っていません。奥の展示ケースには軸などが。出品目録の他に図解入りの展示ガイドがありました。確かに、仏像に詳しくない人が延々とこの像を見続けるのはしんどいかもしれません。ここの出品目録は展示順の掲載[*2]で、材質技法も併せて掲載されていました。展示ガイドもそうですけれど、こういう配慮は好きです。知らないという前提に立たないと、親切なサービスや敷居を下げて新しい層を呼び込むこともできないでしょうし。
ここでは美人の仏様を探しつつ、仏像の足が見えているのは鎌倉くらいから始まって、これはあんまり見せてないほう。などと友人に解説してもらったり。

鎌倉文学館

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町を見渡せる高台にありました。旧前田侯爵家の別邸を文学館にしたのこと[*3]、お嬢様気分にひたれます。この雰囲気が館の魅力ではないかと。チケット売り場のおじさまに「今はバラが満開ですよ!」と声をかけて戴いたのが気持ちよかったです。いらっしゃいませ、でも、あちらにどうぞ、でもなく。ここがお好きなんだろうな、と感じました[*4]。
お家がそのまま文学館ですので動線としてはちょっと……という印象。保存は大丈夫かしらと思うほど明るくて、開放的でした。窓から海まで一望できます。ハイキングで訪れる方が多いようです。この侯爵家で常設展「常設展 鎌倉ゆかりの文学|展覧会情報【鎌倉文学館】鎌倉ゆかりの文学」、たぶん増築したであろうところで特別展「生誕820年 源実朝 くりかえしよみがえる歌」[*5]が開催されていました。
常設展は古代から現代まで、鎌倉ゆかりの文学に関する展示。メインは明治~昭和の自筆原稿かな[*6]、と思います。鎌倉は交流の地だと感じるバラエティに富んだものでした。
特別展は実朝の再評価(の歴史)。正岡子規に始まり、昭和の太宰治吉本隆明、そして現代の鎌倉歌壇や文筆家によるこの展示、と時代ごとの評価について(この展示は意図的な再評価だから少し違う気もするけれど)。現代の実朝秀歌紹介、は人ごとの好みや着眼点が興味深く見ました。選んだ歌二首と、それについてのエッセイや評価が文筆家の写真とともに展示ケースに掛けてあります。和紙に選んだ歌を墨書してあり、字も併せて。

鎌倉市鏑木清方記念美術館

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観光客でいっぱいの観光スポット、小町通りからすぐ。開かれたのは平成10年とのこと[*7]で、小ぢんまりと整って綺麗でした。
ロビーの検索用PCを使ってみました。年代など幾つかのジャンルで作品を検索、画像を拡大して見ることができます。清方を初めて見る友人がどんどんと流し見て雰囲気だけ掴んでから本物を見に中へ。今まで検索機の類を使ったことが無かったのですが、予習のような使い方をしてみました。たくさん見てしまうのに便利。


そんなこんな、な2日を過ごしてまいりました。今回巡った館はすべて駅から歩いて行けるところにあり、見て回りやすいのがいいな、と。自然を感じられるところに立っているためか、地元の方でも散歩やハイキングの間にちょっと、と来館されているような、リュックと帽子の方が目立っていました。取り立てて、博物館に行こう、ではなく土地に馴染んでいるようで印象的でした。

*1:サイトの「鎌倉国宝館について」より。

*2:話題はそれますが、目録が展示順でない。目録の通し番号がキャプションに添えてあるわけでもない。たとえば五十音だとか、目録の掲載規則も記されていない。という、ものすごく使いにくい目録を見たことがあって。こういう、目録を作成する目安やルールってどうやって決まるのかしら、なんぞと考えておりました。

*3:文学館の「ごあいさつ」より。

*4:本当に盛り色々な品種とまさに「むせかえる」ほどの香りでした。いいお日和に映えていました。

*5:このリーフレットがかわいらしいのですが、実朝らしき人物が「もう忘れてしまいました 820歳ですから。」と言っているのが私のツボでした。

*6:好みは三木卓の原稿。「宮崎京子さま おそくなりまして申しわけありません。こんなものになりました。ヘンなところがあったらエンリョなくおっしゃってください。 三木」と編集者に宛てて原稿用紙の隅にあったのがかわいらしくて。

*7:サイトの【ごあいさつ】より。