三重県立図書館のフォーラムに出かけてきました。

2012年1月9日に三重県立図書館によって主宰されたもので、『明日の県立図書館フォーラム2012「3.11から未来へ」』と題されています。
 
(1) 三重県立図書館改革実行計画 平成23年度報告
館長挨拶と報告
一昨年から県立図書課としてどうあればいいのか、県立らしい取組を考えてきた。ヒアリング・鳥取県立図書館などの先進的な取組をしている図書館の視察、専門家からのレクチャー・利用者アンケートなどを行った。その結果「明日の県立図書館*1」を策定した。これは10年後をイメージしながらこの4年間の計画をまとめたもの。
「明日の県立図書館」の計画は進行管理会議と図書館協議会*2によってチェックを行っている。
以下、取組内容。

  • Plan Do Chack Actionによるマネジメント

全館員参加の進行管理会議と図書館協議会*3によってチェックを行っている。

  • 館内での展示

各種展示を行ったが、中でも年間を通じて東日本大震災について行った。
トークライブを3度*4開催。今回のフォーラムが総まとめ。

  • 図書館員の研修
  • ニーズ調査
  • 学校図書館との連携
  • 館内無線LANの設置
  • 収集方針の策定

これらの取り組みの結果、各種雑誌に取り上げられた。
図書館協議会委員 井村正勝氏 による意見
responsibilityをもってほしい。今できているわけでなく、県民からの質問意見があって力をあげてゆくもの。新聞を読んでいたら「嫌なことがあったときに図書館に行く」という投書があった。このように、本を読むという目的を持っていくのではなく、ただ、行く、という場になってほしい。今後の課題として、ハンディキャップのある人・お年寄り・病人にどうやって本を読んでもらうか考えてほしい。また、館員はぜひスマイルで。
このようなフォーラムを毎年開催し、県民は毎年来て批評してほしい。それが図書館をよくする一番のパワーになる。
 
(2) 対談「3.11から未来へ」編集版。
長いので編集しました。お話の筋が分かりやすいように。あくまでivory_reneの理解とメモの範囲です。編集(できるだけ)ないver.もupするつもりです。
 
震災後に感じること

  • 言葉も感情も「がんばろう」の一平面になっている。皆と同じ気持ち・言葉を使いたくないし語りたくないという気持ちがある。
  • 宗教が少しだけ身近になった。自分を超えたものへの関心の高まり。
  • 阪神大震災のような都市型の被害と異なり、被災の形が多様。ステレオタイプに被害を語れない。関西からではボランティアも易々とは行けず、どうすることもできない気持ちがある。そんななか、感情の実感として、本気で祈る、ということが生まれたと思う。祈ることが意味のあることになった。

震災について思うこと

  • 日本人は海の民。その核心を襲ったのが3.11。だから石巻や釜石の惨状は心の中心部に届いている。
  • 心のケアについて。突然の死について人を責めたり因果関係を説明されても、納得はできない。復興は納得すること。どうやって立ち直るかというプロセスと重なる。identityを考える基本的な三要素(1;親、誰の子であるか 2;性別 3;仕事)のうち、家族も仕事も失くした人がいる。彼らは自分の納得の本質を欠落・喪失させている。自分の物語が維持できず、語りなおしをしなければならなくなっている。

今後……

  • 語りづらかった震災を正面から受け止めて語っていく。克服しなければ一億総ざんげで終わってしまう。
  • 外側から再建。細く長く続けること。
  • 日本は災害が多い。諦めることがインプットされている。諦めることもまた必要。
  • 宗教をなんとかしたい。教義や教団的な組織でなく、ただ包むあたたかさが大切。

最後に

  • 図書館は勉強しに来るところ、というだけでなく、人がそれぞれ育つ場となったらいい。

*1:http://www.library.pref.mie.lg.jp/info/kenritsu/asu.htm

*2:付属機関等会議概要:三重県立図書館協議会 http://www.pref.mie.lg.jp/SINGI/council.asp?clcode=0093

*3:付属機関等会議概要:三重県立図書館協議会 http://www.pref.mie.lg.jp/SINGI/council.asp?clcode=0093

*4:第1回「[http://www.library.pref.mie.lg.jp/app/details/index.asp?cd=2011070007:title=3月13日、ぼくは八戸に行った。]」:募集要項 第2回「[http://www.library.pref.mie.lg.jp/app/details/index.asp?cd=2011070493:title=東北を写す―東日本大震災の前と後の光景から―]」募集要項 第3回「[http://www.library.pref.mie.lg.jp/life/tokusetsu3.htm:title=図書館がなくなった。]」:報告資料