学生の氏名を広報に使うことについて。

予備校や学校のパンフレットに溢れるのが合格体験記です。思い出すことがあるので、メモしておきます。
頼まれて、合格体験記を書いたことがあります。合格大学と学部、氏名と作文です。出身高校の学内報だけでなく、折込チラシになって周辺地域に頒布されていたようです。卒業当時は何も考えずに引き受けました。けれど、それがきっかけとなって、嫌な思いをしました。
大学1年生の夏、大講義室での授業にて。突然教授から封書を渡されました。大学気付で私宛に届いた手紙です。送り主の名は、なかったように思います。B5ノートの表裏・5枚に細かい字でぎっちりと書かれた、支離滅裂で不快な文章でした。内容は、あまり思い出したくないようなもの。私の出身高校に関する文言から書き始められていたので、学校に問い合わせを。精神疾患で治療中の方からであるようでした。また、他にも同様の手紙を受け取っていた同級生がいたことが分かりました。これらの情報源は学内報か、折込チラシではないか、とのこと。
ひとり暮らしを始め、心細くて不安なときに届く手紙の気味悪さと怖さ、今でもよく覚えています。
 
このことを思い出す機会があって、予備校の合格者インタビューを検索してみました。

合格大学・出身高校・氏名が掲載されています。合格者の動画を公開しているところも。偽名やイニシャルでは何の説得力もありませんし、出身高校から推し量れることもたくさんあるでしょう。企業の広報としては当然のことだと思います。
では、どのような手続きを踏んで掲載に至っているのでしょう。私が通っていた塾は、合否の報告をする書類に掲載の許可・不許可をチェックする欄があったように思います。出身高校は口約束でした。(もちろん、自分の意志で引き受けたのですが)
 
もうひとつ。所属大学の大学院紹介を引き受けたことがあります。所属、氏名、腰から上の写真と作文。教授から口頭での依頼*1。修士の修了後、2年ほどはそのまま掲載されていました。もう所属は変わっているのに困ったものです。
 
今はこのような広報、どういう手続きを経ているのでしょう。
体験記や実績を掲載することへのリスクを、引き受け手も考えないといけない、と先日思い出しました。また、依頼する大学・高校・予備校の関係者はリスクを把握しておいてほしくもあります。依頼は口約束などでなく、目的と掲載期限やその情報をどのように扱うのか、また考え得るリスクを書面にしていれば安心です。書く、というステップを踏むことで何かしら引き受け手も考えることがあるでしょうし、もし何事かあった際に掲載側の危機管理にも、なるのでは。市販の医薬品の効果と副作用に関する注意書きのようなものかもしれませんが。
 
以前どこかでこの話題を見かけたのですが……、思い出せない。とりあえずリスクの実例として。関係者さん、今はどうなさってるんでしょう。

*1:まったく学習していませんね。