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志望理由書を指導するとき ―告白になぞらえてみる。

夏の真っ盛り、推薦入試・AO入試の指導も真っ盛りです。これらの試験の形態は、志望理由書と面接・小論文・講義受講とレポート、などの組み合わせ。何より必要なのは志望理由書です。
先生、どうやって書いたらいいんですか? とおろおろやってくる生徒たちの文章を読んでわかったことがあります。壊滅的に構成できてない! 将来像や就きたい職業はある。オープンキャンパスに行った。大学研究もそれなりにしている。でも、変。この志望理由書は違う気がする。それは自覚していて、どう書いたらいいのかわからない、と表現しているようです。もちろん、全く書かずにやってくる困ったさんもいますが。書くだけのものは持っている、でも、書けない。そんな彼らに、まず言うことがあります。面接って「好きですつきあいたいです」というんだと思うのよ、と。そして、告白に見立てて志望理由を構成するという指導を行っています。
 

  1. すきです。
  2. 私ってこんな性格なんです。
  3. だからあなたに惹かれたんです。
  4. あなたのこういうところが素敵です。
  5. あなたとつきあってこんなことができたらいいなあ、楽しそうでしょ。
  6. ねえ、すきなんです、おつきあいしてください。

 
ちょっと無理がありますが、以下に内容を。
 
1.すきです。
 私は将来〜になりたいと思っており、貴学○○学部○○学科を志望します。
→まずは結論を。
2.私ってこんな性格なんです。
 私は〜のような経験を持っています。と具体例を含めて。具体例は、君しか知らない君の経験を書くのよ。ほかの誰でもない君自身の経験を思い出して、と言っています。
→志望の動機。
3.だからあなたに惹かれたんです。
 私の〜は貴学において学べる(磨ける/成長できるですとか)と考えています。
→志望の理由。
4.あなたのこういうところが素敵です。
 貴学には〜(教員/カリキュラム/施設……)があります。
→学校研究が生きるところ。私立大学は特に、オープンキャンパスへの参加を重視しているようです。
5.あなたとつきあってこんなことができたらいいなあ、楽しそうでしょ。
 貴学で/○○先生について学ぶことができたら〜な知識を身につけることができます。将来の自分のこのような姿に近づくことができると考えています。
→その大学で学べること、深まる知識そして将来像へ繋げる。長期的な人生設計をアピール。
6.ねえ、すきなんです、おつきあいしてください。
 以上の理由によって、私は貴学○○学部○○学科への入学を熱望しています。
 →と結論に戻る。
 
さしあたり、結論―理由(具体例)―結論と言う形に納まるように。ばらばらだった思考と行動を型にはめ込んで構成してしまいます。骨子はできたので、ここからどんどんと肉付けをしてゆきます。原稿用紙なんて使わなくていいからとにかく書く。書くことを怖れさせないことから始める。できるような気にする。のです。
この1〜6は時間があるときには生徒に「好きな子に告白するときどうする?」と質問して考えて貰います。「すきなことを伝えるには、すきなところを言わないと! この学校のいいところは?」ですとか「好きならどこかデートしたりしたいよね、ほら、じゃあ大学入ってこんなことができたらいいなあっていうのを書いてみて」ですとか。
相手を説得するにはどうしたらいいか考えてごらん、友達と東京行くとき、ご家族にうんって言って貰うにはどうする? というバージョンもあったのですが、最近は専らこれ。
型にはめ込むことは褒められたことではないでしょうし、彼らの思考にどれほどの刺激を与えているのだろうか、と悩んだこともあります。けれど、受験というリミットの迫る中で生徒たちの将来を後押しするなら、まずは書かせるのだと決めました。
おろおろとわかりません、とやってくる生徒たちは、とりあえず文字にしたけれど書けていないという自覚はあるようです。あなたを伝えていらっしゃい、大学や教員に好きですつきあいたいです、つきあってあなたといて、未来を考えたいです、といっていらっしゃい、と送り出すことにしています。
ペーパーテストで学力をはかる試験も大切。一般入試だから〜、センター受けて国公立だから〜、という括りはさておき、でも、あなたをすきだと直接伝えられる試験はとても幸運です。
もうひとつ。
志望理由書や小論文の指導をしていていつも思うのは、これまでの現代文の授業です。当該著作の読解に終始して、普遍的なレベルまで話を進められないから構成がわからないままになってしまうのでしょう。教材を読むことから、書くこと・思考力まで踏み込めなかった、定着させられなかったという反省をどうにか次に活かせないか考えているところです。