大学ポートレートについて思うこと

Between[*1]の2013 2-3月号が

と題して大学ポートレートの特集をしています。
これは、国公立・私立・短大の教育情報を一括してweb上で公開するデータベースのことで、文部科学省「大学改革実行プラン」[*2]主要事項の「⑫ 大学情報の公表の徹底(大学ポートレート)」として挙げられています。

特集記事では社会・大学・利用者の視点からの意見や提案が述べられていますが、私が気になったのは

という、大学選択と大学ポートレートについての記事で、次のように始まります。

大学の授業を体験したり教員や学生に直接話を聞いたりするなど、大学生活を深く知るための行動を促す指導が欠かせない。こうした進路指導を行う中で感じているのが、都市・地方間の情報量の格差だ。複数の大学が近くにあれば、気になる大学を実際に見て比べることが可能だ。仮に志望校が遠方にある場合でも、近隣の大学を見て、比較の材料とすることができる。しかし、本校のように、気軽に行ける距離に大学がない場合、中身を見ないまま、学びたい学問分野と入試難易度によって志望校を決めざるを得ない。自ら調べて納得したうえで志望校を決定した生徒に比べればどうしても動機は弱くなり、進学後の意欲減退や中退につながりがちだ。

このあと、現状のサイトを高校教員や高校生は使わないだろう。大学を比較検討しにくい、データをダウンロードできない……などと課題が述べられており、それが主なのですが。

高校生が志望校を決定する際に重視してほしいのは、校風や環境もふくめてそこで何を学べるのか、だと思うのです。志望校決定の際、高校生は進路指導担当教員や担任とともに進学情報誌や進学データベースから大学をピックアップし、大学のHPにアクセスしたりパンフレットを取り寄せたりして大学を調べていきます。私もときどき生徒から相談を受けていました。手伝ってみて受けた印象に、パンフレットやデータベースでは教育内容や研究実績が調べにくいこと、比較検討しにくいこと、があります。すべてではありませんが、これって大学側の広告費の差なんじゃ……と感じてしまうこともありました。

そして、地方ですとオープンキャンパスに行くのも泊まりがけ。熱心な生徒には、高校を欠席して大学見学に出かける子もいます。そこまででなくとも地方にいては、ちょっと大学見てこよう、というにはハードルが高いことが多いのです。交通費や時間を考えると、事前に情報を集め、厳選して行きたいと思うのは自然です。

記事には課題があげられていますが、一元化した非営利の検索システムができるであろうこと。それによって、教育内容での大学選びや選択の幅がひろがること、検討しやすくなることに期待しています。


Betweenのほかにこのような記事を見つけました。


大学ポートレート準備委員会のサイト。

*1:ベネッセ教育研究開発センター発行 http://benesse.jp/berd/

*2:「大学改革実行プラン」について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/06/1321798.htm (2012.6.5)