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Open Access文献を使うとき

図書館 教育

いつもの前置きです。こんな状況。
6年居ついた大学を離れ、地方の高校で教員をしています。最寄りの公共図書館へのアクセスは徒歩3分。本はたくさん借りているけれど蔵書は物足りない。県立図書館との連携サービスが充実しているのはわかっていますけれど、いつ読めるか定かでない文献に頼りたいとは思いません。お取り寄せって確実性に欠けますもの。院生の頃であれば「必要ならば待つ、逆算できない自分が悪い」と考えていましたし、輪読に(大体)合わせてマイクロフィルムの全頁複写依頼を出すこともしていました。今は、仕事をする上で読みたいものを待っていれば、時間の流れの分授業は進み、納得できない準備のまま授業に臨むことになります。
結局、今、頼りになるのはweb。教育・図書館関連の主な情報源はカレント*1や edufolder(@edufolder)さん、大学情報ニュース*2など。自分の調べごとはOAな文献(機関リポジトリ)です。
機関リポジトリって使われてるの? 役に立ってるの? と疑問視なさる研究者さん大学さんもいらっしゃるでしょうし、図書館情報学の分野では研究対象になっているようです。私からすれば、ものすごくありがたいですー!! なのです。
そこで、必要のために日々使っている、田舎のそのへんにいる勤め人はこんなふうに使っています。ということを書いてみます。
 
 
 
仕事のため

■教育方法について

  • 指導事例の報告

今よく読んでいるのはデジタル教材を用いた指導事例について。国語教育も、もちろん日常的に。小説の授業が苦手なので、検索して参考にしたり発問を考えたり。
 

  • 研究開発に関する論文

新指導要領で重視されている「言語活動」「情報活用能力」について書いてあるもの、それとPISA型学力についてをこのところよく読んでいます。
 
■内容について

  • 作品論・作家論(小説)

高校1年生であれば『羅生門』、2年生は『山月記』『こゝろ』が定番教材。評価が定まっていることもあって、公立・学校図書館で入手しやすいものです。これは殊更に探さなくてOK。
却って、ここ10年くらいの間で教科書に採録され始めた、よしもとばなな村上春樹あたりは現在進行形で研究が行われているので、色々なものを読んでおきたい、けれど、やっぱり新しいものは入手しにくいのです。ざっと現代文の教科書の採録作品を見たところ、ガルシア・マルケスレベッカ・ブラウンシュペルヴィエルがあってのけぞっているところ。私が学生のころなら考えにくいなあ、と。
 

  • 現代文でときどきに扱うトピック(評論文)

言語、文学、かろうじて歴史……、の論文でしたら、大まかには背景を把握しているのですが、哲学、都市論、空間論、生体心理学。まず私が消化するのに時間がかかります。ざっと概説を読んだり、採録元の論文や著者の他の論文を読んだり、は最低限しておきたいところ。
これを短期間に入手するのはとても難しい。県立にILLを依頼すればいいのですが、到着日が確約できませんし(なら、……要らない。ボソッ)、それに10〜12時間働いていると公立図書館の開館時間内に資料を引き取りにはゆけません。
自分の興味関心の範囲であれば幾らでも買うのですが、そうでないものもたくさん噛み砕かねば。もうこれは、CiNiiさんJAIROさんありがとう! というしかありません。

※ 古典は評価も内容も定まっているので、内容について困ることはほとんどありません。指導事例を読むくらい。
 
■教育情報収集について
 

  • 概念の定義を探す

メディアリテラシー、マルチリテラシーズ云々、訳語は唐突に表れてくるわけで。文科省の扱っている用語とどう違うのか、その概念はどういう背景で生まれてきたのか、などなど。数本の論文の冒頭部分を流し読むだけでいいのです。
 

  • 用語?の使用頻度

分野に独特の用語や現代のトピックの概要は頭に入れておかないと、生徒は(さしあたり)受験に太刀打ちできなくなってしまいます。現代文の用語集も発売されていますが、夏・冬・春の課外授業で現代文用語のまとめを自作したこともあります。作るのにはもちろん選別が必要。
用語を検索してヒットが多ければ、定番・或いは今が旬。特定の著者が多くヒットするキーワードならば、下位に。検索して著者をチェックしたり、ヒット数を確認したりして語の選別を行います。最近だと「アフォーダンス」についての論文を扱ったのですが、これ、そんなに重要かしらん。。ですとか。当然、検索結果に偏りはあるのですが、何もしないよりはいいかと。
 

 趣味のため

このあたりは、もうそれ以上の何かはなく、ただ見つけて読みたいから。
 
 
現在の教科に関する準備の大半は、OA可能な論文、というか機関リポジトリの助けを借りて行っている、ということを再確認。こういう使い方する方、どのくらいいらっしゃるんでしょう。私が図書館のお手伝いをさせて戴いていたころにリポジトリに積極的だった人文系の分野は教育と心理、だったように思うのですが、あますところなく恩恵を受けています。
学術関係者さま方に感謝するとともに、どうかどうか、そのへんをへろっと歩いてる人たちにも学術情報を公開してくださいませ、高等教育機関・研究機関からフィードバックしてくださいませ、と願います。

*1: 国立国会図書館「カレントアウェアネス-R」 http://current.ndl.go.jp/

*2:朝日新聞大学公開講座 http://www.asahi.com/edu/egm/daigaku/ippan.html , 大学プレスセンター http://www.u-presscenter.jp/