志望理由書を指導するとき ―付箋をつける。
書くことを固め、構成をつくり、次は推敲です。最近は、生徒の原稿にコメントを入れるときに付箋を使っています。何色か揃えておいて色分けをすることができること、剥がして貼りかえられること、というメリットがあります。
個別具体の注意点は、文章の該当箇所に小さな付箋を貼ってコメント。ノートでもルーズリーフでも、1行おきに書いてくれればこちらもコメントしやすいのですが、詰めて書いてくるのが大半です。以前は矢印などを使って余白にコメントしていたのですが、読みにくいですし書く方も気を遣います。だったら該当箇所に貼ってしまえばいい。付箋の下になってしまう文章も、剥がせばちゃんと読めますし。
レベルの違う、もう少し抽象度の高いコメントには少し大きい付箋を使います。構成や学校研究、学問研究などです。貼るのは、上部や下部の余白や目につくところに。色を変えることで、コメントの種類が一見してわかるようにしたつもりです。
〆切なども付箋に書きます。これは他の担任の先生がなさっていたことで、忘れ物の多い生徒を注意する時、付箋に〆切や持ち物を書いて渡すのです。生徒が筆箱など、目につくところに貼り替えられるように。それを真似てみました。
例)業者添削後の小論文指導
「コメントの意味がわからない」とやってきた生徒。業者による添削指導ですので、原稿用紙の体裁です。余白には、添削者による赤ペンのコメントがあちこちに施されています。ここに私が青ペンで更に何かを書き加えても読みにくいだけで、生徒に親切な方法ではありません。そこで付箋の出番。コメントのなかから、理解できない箇所に付箋を貼らせます。私がその箇所を解説し、生徒は付箋にメモを書き込む、という方法を試してみました。また、業者さんの赤ペンコメントは、生徒の書いた文章に対する個別具体的な注意点が主のようでした。それらをチェックして、その子の苦手なところを別の色の付箋に書き、上部に貼ります。色々と書きこんだのですが、思ったよりもすっきりと見やすく。
例)志望理由書の添削
ノートでもルーズリーフでも、実際のエントリーシートのコピーでも。上記のように3〜4色の付箋をコメントの種類別に使ってコメントを入れます。赤は、付箋を剥がしたときの目印になる程度に。ピンクの付箋は個別具体のコメント、青はそれを少し抽象化。黄色は直しと、完成形にするための〆切。このようなイメージです*1。
本人の書いたものが損なわれてしまっては、生徒自身の志望理由書にはなり得ません。私ができるのは誘導だけです。どうやったら、言いたいことを伝えられるのか。志望理由書を書く過程で、少しでも気付いてもらえたら嬉しいのですが。
生徒は、最終的には担任に見せてOKと担任の署名や調査書を貰うのです。担任でなければ、進路指導担当教員や日頃お世話になっている部活の顧問、または3年生を教えている国語の教員。当然、受験指導をした経験のある方々です。私はそのどれでもありません。担任や顧問に持っていく、その下書きにつきあいます。告白できる生徒、書けない生徒、コメントから始められる生徒、段階は様々です。所詮私は下書きの手伝い、といったらそれまでですし、最後の決断をしないのですから責任は比較的軽いのだと思います。けれど私の前に来たときだけは、私が君の担任。何を言ってきても大丈夫なように準備しておきたい。できるかぎりつきあいたい。なんて思って、職員室にいます。
*1:生徒のものではありません。生徒になりかわって私が書き、自分で添削しました……